大分空港(大分県国東市)から人工衛星を打ち上げる「宇宙港」構想で、打ち上げを計画している米宇宙企業「ヴァージン・オービット」は米連邦破産法第11章(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。県は5日、「宇宙港構想の推進方針には変わりない」とする見解を示した。

県先端技術挑戦課によると、県は4日までに、同社のホームページなどで同法の適用申請を把握した。同課の佐藤元彦課長は、宇宙港構想の推進方針に変更はないとして、「経営上の問題であり、同社とのやりとりは有無を含めてコメントを控える。引き続き状況を注視する」と話した。

 県は2020年4月、同社と協定を結び、打ち上げを目指している。協定は県側に金銭の負担が生じる内容ではないとしている。同社は1月、イギリスで行った打ち上げで衛星を目標の軌道に乗せることができず、複数の海外メディアが経営危機を伝えていた。

 宇宙ビジネスの創出を目指す一般社団法人「おおいたスペースフューチャーセンター」の高山久信専務理事は「人工衛星の打ち上げ事業は継続するので大分を宇宙港にするという方向は変わらない。今後、事業継続のための出資者が決まるので注視したい」と言う。

空港がある国東市の松井督治市長は「まだ詳細がわからないためコメントできない。今後の推移を見守りたい」とした。

 県は22年2月、米宇宙企業「シエラ・スペース」とも、大分空港を宇宙ステーションと地球をつなぐ「宇宙往還機」の着陸拠点にするための協定を結んでいる。