マイクロソフトは13日(現地時間)、Windows 11向けのアップデートを公開しました。IT系メディアTechRadarが報じたところによると、今回のパッチは、10月のプレビューアップデートで報告されていた複数の問題に対処するものです。具体的には、パフォーマンスに影響を与えていたタスクマネージャーの不具合や、携帯型ゲーミングデバイスのバッテリー消費問題が改善されています。あわせて、OSレベルでのパスキー対応強化も進められています。

主な不具合の修正

従来、タスクマネージャーを閉じてもバックグラウンドで実行され続け、システムリソースを消費するという問題が指摘されていました。マイクロソフトはこのアップデートにより、「タスクマネージャーが完全に終了せずパフォーマンス低下を引き起こしていた問題」が解決されたと説明しています。

加えて、携帯型ゲーミングデバイスがスリープ(低電力)モードを適切に維持できず、バッテリーが急速に消耗する問題も解消されました。ログイン直後5秒間、タッチキーボードが反応しないという軽微なバグも修正されています。

一方で、今回のパッチで全ての問題が解決したわけではなく、ファイルエクスプローラーなどOSの基本機能におけるパフォーマンスの問題は依然として残っています。マイクロソフトは、今後のアップデートを通じて引き続き改善を図る計画です。

パスキー対応のネイティブ統合

今回のアップデートにおけるもう一つの大きな柱が、セキュリティ認証の強化です。パスキーは、FIDO2(WebAuthn)標準に準拠した安全な認証メカニズムであり、従来のパスワード方式に代わって公開鍵と秘密鍵の暗号化技術を活用します。

ユーザーが対応サイトに登録すると、秘密鍵は「Microsoft パスワード マネージャー」や「1Password」、「Bitwarden」といった管理ツール内に安全に保管されます。実際のログイン時には、Windows HelloがPINコードまたは生体認証を要求し、本人確認を行います。この仕組みは、利便性やデバイス間の移植性に加え、フィッシング攻撃に対する高い耐性を持つことから、従来のパスワードよりも優れていると評価されています。

MS独自機能とサードパーティ製アプリの連携

マイクロソフトは、サードパーティ製アプリのサポートに加えて、これまでEdgeブラウザの機能だった「Microsoft パスワード マネージャー」を、WindowsのネイティブプラグインとしてOSに統合しました。これにより、ユーザーは使用するパスキー管理ツールをOSレベルで直接選択できるようになります。

Windows Helloを通じてパスキーの生成、管理、保護が可能になるほか、同じアカウントでEdgeにログインしているWindowsデバイス間での同期も実現します。また、Azure Managed HSMやAzure Confidential Computingを活用した暗号化キーの保護といった、より高度なセキュリティ機能も利用できるとしています。

Bitwardenのシステム統合はベータ段階

ちなみに、パスキー管理ツールの「Bitwarden」は、2023年11月の時点ですでにパスキーの保存・管理に対応していました。同社によると、今回発表されたWindows 11のシステムレベルでの統合機能については、現在ベータ段階にあるとのことです。これは、広範なテストとバグ修正が完了するまでの間、一部の機能制限や不安定な動作が発生する可能性があることを示唆しています。