COMPUTEXにおいて、NVIDIAは最新のシリコン技術「NVLink Fusion」を発表した。これは、世界で最も高度かつ広く採用されているコンピューティングファブリック「NVIDIA NVLink」を活用し、業界がNVIDIAパートナーエコシステムと連携して、半カスタムのAIインフラを構築できるようにするものだ。

MediaTek、Marvell、Alchip Technologies、Astera Labs、Synopsys、Cadenceなどの企業が、NVLink Fusionを初めて採用するパートナーとして名を連ねており、モデル学習やエージェント型AI推論といった高負荷な処理に対応したカスタムシリコンの拡張を可能にする。

NVLink Fusionを活用することで、富士通やQualcomm TechnologiesのCPUとNVIDIAのGPUを組み合わせた高性能な「NVIDIA AIファクトリー」の構築も実現できる。

NVIDIAの創業者兼CEOであるジェンスン・フアン氏は、次のように語った。「数十年ぶりに、データセンターのアーキテクチャが根本的に変わろうとしています。AIはすべてのコンピューティングプラットフォームに統合されつつあり、NVLink FusionはNVIDIAのAIプラットフォームと豊富なエコシステムを開放し、パートナーが専門的なAIインフラを構築できるようにします。」

また、NVLink Fusionは、クラウドサービスプロバイダーが大規模なAIファクトリーをスムーズに拡張する手段も提供する。NVIDIAのラックスケールシステムやエンドツーエンドのネットワーキングプラットフォームと組み合わせることで、最大800Gb/sのスループットを実現可能だ。これには、NVIDIA ConnectX-8 SuperNIC、Spectrum-X™イーサネット、Quantum-X800 InfiniBandスイッチが含まれ、コパッケージド・オプティクスの提供も予定されている。

相互接続されたテクノロジー・エコシステム

NVLink Fusionを利用することで、ハイパースケール事業者はNVIDIAのパートナーエコシステムと連携し、NVIDIAラックスケールソリューションをデータセンターインフラにシームレスに統合できる。

NVIDIA NVLink Fusionを用いたカスタムAIチップを開発するパートナーには、MediaTek、Marvell、Alchip、Astera Labs、Synopsys、Cadenceが名を連ねている。

MediaTekの副会長兼CEO、リック・ツァイ氏は次のように述べた。「当社の世界水準のASIC設計サービスと高速インターコネクト技術に関する深い知見を活かし、NVIDIAとの協業により次世代のAIインフラを構築しています。自動車分野から始まったこのパートナーシップは、現在ではさらに広がりを見せており、クラウドスケールAIの急速な進化に対応するスケーラブルで効率的かつ柔軟な技術の提供を可能にしています。」

また、Marvellの会長兼CEOであるマット・マーフィー氏はこう語った。「MarvellはNVIDIAとの協業により、AIファクトリー統合の新たな可能性を切り拓いています。NVLink Fusionを搭載したMarvellのカスタムシリコンは、高性能で柔軟なAIインフラの基盤を提供し、次世代の数兆パラメータAIモデルに求められる帯域幅、信頼性、柔軟性を実現します。」

このように、NVLink FusionはAIインフラの設計と実装に革新をもたらし、企業やクラウドプロバイダーがより柔軟でスケーラブルなシステムを構築するための強力な基盤を提供するものとして期待されている。